パワーとRFD(爆発力)を高める方法と動画検証

2019年11月24日

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まずは下記動画を見てください。

何も意識していないのと比べて、すばやく上げると約2.2倍パワーを発揮していました。

100kgを挙上するのに960ミリ秒かかりました。

この時間が縮むことによってジャンプ力は上がるのでしょうか。

ちなみにこのパワーはスクワットを下から完全に上げきるまでの平均のパワーです。

バーを上げる速度は、最初が0で最後も0になりますので刻一刻と変化しています。

つまり、パワーも刻一刻と変化しています。

パワーの高め方

パワーを高める手っ取り早い方法は、以前紹介したようにスクワットの最大重量を伸ばすことです。

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TRAINING SCIENCEより改変

スクワットの最大重量を伸ばすことができれば、力-速度曲線右方シフトし、必然的にパワーが上がります。

単純に、スクワットのMAXが200kgの人100kgの人が100kgでスクワットする時のことを考えます。

MAX200kgの人は100kgのスクワットなんて軽いのでひょいっと上げてしまうでしょう。

しかし、MAX100kgの人は、100kgのスクワットは上げられるか上げられないかのぎりぎりの重さなのでゆっくりとしか持ち上げることができません。

スクワットのMAXが上がればパワーが上がることは感覚的にわかると思います。

また、高速スクワット(30秒間に30%1RMの重さでできるだけ速くスクワットする)やクイックリフトによってもパワー (バーを上げる速度) は上昇するとも考えられていますが、実際には難しいとされています。

パワーを高める手っ取り早い方法は、スクワットの1RMを伸ばすことです。

パワーが上がるとジャンプ力は上がるのか

自分の経験を言えば、スクワットのMAXが90kgから120kgに上がっただけでジャンプ力が上がったのでおそらくジャンプ力は伸びると思います。

しかし、ある程度の限界はありそうです。

つまり、スクワットがMAX50kgの人がMAX200kgになったら間違いなくジャンプ力は上がると思いますが、200kgから250kgになったところでおそらくジャンプ力は変わらないのかなと考えています。(もちろん自体重によります。)

ジャンプするときにかかる脚の負荷は、自体重の2~2.5倍と言われています。

つまり、スクワットのMAXが自体重の2~2.5倍になってしまうとそれ以上スクワットの重量を伸ばしたところでジャンプする時に発揮できるパワーは変わらないのかなと考えます。

スクワットのMAXが自体重の2~2.5倍までいったら、別のトレーニングに切り替えたほうがジャンプ力は伸びると考えます。

パワーではなく、爆発的な力と呼ばれるRFD(力の立ち上がり率)を伸ばすことでジャンプ力が伸びそうです。

RFD(力の立ち上がり率・爆発的力)って何?

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ここから物理の話になります。

RFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率:爆発的力:単位[ N/s ]) とは何でしょうか。

単位はN/s(ニュートン毎秒)と見慣れない単位かと思います。

RFD単位時間あたり、どれだけ筋肉がを発揮したかを表すものです。

例えば、1秒間に100Nのちからを発揮できる人と、0.5秒間に80Nのちからを発揮できる人では、どちらの方がRFDが高いでしょうか。

前者のRFDは100N/sで、後者のRFDは80/0.5=160N/sとなり、後者の人の方がRFDは高いという評価になります。

また、RFDの単位はN/s (ニュートン毎秒) です。

高校物理では出てこない組立単位ですが、これを少し変形してみます。

N(ニュートン)はニュートンの運動方程式より、F = ma(力 = 質量 × 加速度) なので、kg ・m/s² となります。

よって、RFDの単位は

N/s = kg ・m/s³ となります。

そして、この m/s³加速度の時間変化率を表します。

加速度の時間変化率とは、加速度を微分したもので、日本語でいうと躍度(加加速度)、英語ではJERK(ジャーク)と呼ばれます。

高校物理では等加速度運動といって、加速度が一定のものしか扱いませんでした。(円運動を除く)

(速度は変位の時間変化率であり、加速度は速度の時間変化率です。そして、躍度は加速度の時間変化率を表します。ちなみに躍度の時間変化率といったものもあります。)

パワーの単位は[W:ワット]で、[J/s:ジュール毎秒]であり、[N・m/s:ニュートンメートル毎秒]です。

RFD[N/s]とは別次元のものということがわかります。

RFD(爆発力・力の立ち上がり率)を伸ばせば、ジャンプ力は上がる?

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ジャンプ力とパワーも相関するらしいですが、実はジャンプ力とRFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率:爆発的力:単位[ N/s ])の方がより相関するのでは?いう報告もあります。

ストレングストレーニングでパワーの上昇に限界がきたら、次はこのRFDを伸ばせばまたジャンプ力が上がることになります。

では、このRFDを伸ばすにはどうすればよいのでしょうか?

これの最適解が文献検索してもあまり出てこないのですが、リハビリテーションの論文で高速スクワットが有効かもしれないという報告がありました。

また、ウエイトリフターが凄まじいジャンプ力があることからも、クイックリフトのトレーニングがRFDを伸ばすのに有効なのだろうという予想は立てられます。

RFD(爆発的力・力の立ち上がり率)はどうやって計算するのか

RFD(爆発力・力の立ち上がり率)はどのように測定すればよいのでしょうか。

平均的なパワーであれば、動画のようにバーの上げる平均速度を計算して求めることができます。

しかし、RFDは一筋縄では行きません。

動画からRFDを計算しようとすると、バーの加速度が必要となるため、フレームごとにバーが何mm動いたかを計算する羽目になります。

100kgを爆発的にスクワットするのに自分は約1秒かかるようなので、60枚の画像を検証すれば加速度ないしRFDを求めることができます。

スポーツ科学者たちは床反力測定器(フォースプレート)という高価なもので測定するようですが、自分にはそんなことはできないので、しこしこと60枚の画像を検証しようと思います。

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http://www.hs.kanagawa-u.ac.jp/sports/facility.htmlより引用

ジャンプ力を上げる他の手段

パワーとRFD(爆発力)を高める以外にジャンプ力が向上する方法があるのでしょうか?

3つあります。

それは、ジャンプする動作そのものの上手さ(身体の連動性)アキレス腱のSSC(ストレッチショートニングサイクル)の利用の上手さ(バネをうまく使えるか)と減量です。

スポーツが苦手な人はジャンプするのがなんか変ですよね?

このジャンプの動作自体が上手になればジャンプ力は伸びます。

俗にいう『1ヶ月でジャンプ力が30cmアップ!』とかいう商材はこのジャンプ自体の動作を上手にする方法を述べていると思いますが、普通のスポーツマンであればそこまでジャンプは下手ではないと思います。

そもそもジャンプ力をつけようと思っている人はたいていがバスケやバレーをやっているため、ジャンプが下手というのが考えにくいです。

また、アキレス腱をうまく使う方法としてはプライオメトリクストレーニングが上げられます。

これに関して記述すると日が暮れるのでまた今度にします。

減量でジャンプ力が上がるのは言わずもがなです。

ジャンプ動作において脂肪は単なる重りです。

まとめ

・ジャンプ力を高めるには、パワーの向上RFD(爆発力)の向上が必要である。

・パワーの向上はスクワットのMAXの向上で得られるが、自体重の2~2.5倍でジャンプに関しては頭打ちがくる。

RFDの向上はクイックリフト高速スクワットがおそらく有効と考えられる。

・パワーとRFDの向上以外でのジャンプ力を上げる方法は、ジャンプ動作の上手さアキレス腱の利用の上手さ(SSCの利用)減量が考えられる。

感想

パワーについて考えれば考えるほど頭が痛くなります。

楽しいですけど。

一度、専門家に教えを請いたいです。

最後に一言

RFDの計算めんどくさ!