医者おすすめの筋トレ論文の読み方

HowToReadPaper

論文には正しい読み方というものが存在します。

論文と聞くと、医者や科学者が見るものと思われるかもしれませんが、一般の人も無料で読めるものがたくさんあります。

自分は大学生になるまで論文なんてものの存在を知りませんでしたが、広くインターネットが普及するこの時代、本当に正しい情報を得るには論文を読むのが手っ取り早いです。

もちろん論文をわかりやすく日本語でまとめた『書籍』というものも販売はしていますが、最先端の情報には絶対にありつけません。その内容が正しいかどうかはわかりません。なぜなら著者の偏見が入るからです。

販売するということは少なからずとも『儲け』も考える必要があり、正しい情報かどうか疑わなくてはなりません。

世の中お金だよ

論文というものは基本的に非営利目的であり、研究者が一生懸命行った実験や調査をひろくいろんな人に知ってほしくて形にします。

自分は最先端の情報や本当にこのトレーニングは効果があるのか?と疑問に思ったときに論文検索します。

正しい読み方に関しては、佐々部孝紀氏が運営する『 Training Science』で詳しく書かれているので参照にしていただきたいのですが、せっかくなので自分の読み方というものを教えます。

論文読む、ちょっとその前に

論文を読むためには最低限の知識が必要です。

当たり前ですが、英語がまったくわからなければ論文はほぼ読めません。

自分は医者ですので、英語はそれとなくわかりますが、中国語とかタイ語なんてまったくわかりません。

つまり、中国語の論文なんて読めないわけで最低限の英語の知識が必要というわけです。

幸い日本語の論文もいくつかあるので英語がわからなくても読むことはできますが、最新の知見が知りたければ英語を勉強するしか無いでしょう。

現在はgoogle翻訳も優秀になってきて、とりあえず入れてみれば大筋がわかったりします。それでも英語の知識は絶対必要ですが。

また、数学、統計学の知識も正確には必要です。必要ですが、そんなにいらないです。

論文には有意かどうかというものが大事で、この「有意」という言葉を他人に説明できるぐらいの知識があればよいです。

「有意」という言葉の意味に関しては各自勝手に調べてください投げやり

簡単に言えば「p < 0.05」という表記があればそれは偶然の結果ではなく、ほぼ間違いなく必然の結果だということです。

ほぼ間違いなくというのがポイントですが、まぁ詳しいことはgoogle先生に聞いてください。

興味のある論文を探せ!

さっそくですが、まずは論文を探しましょう!

探し方に関しては、上記で紹介した記事に書かれているので省きます。

惹かれるタイトルの論文をみつけたらまずはアブストラクト(要約)を読みます。

だいたいのことはそこに書いてあり、より詳しく知りたいと思って初めて記事を読み始めます。

以下はどくすく的論文の読み方です。色んな方法があるかとは思いますが、自分の読み方は全然特殊なものではなく、ごくごく一般的なものかと思います。

①まずは対象者を読もう!

どんな論文もそうですが、基本的に対象者というものがあります

ランダムにそこらへんで歩いてる人をつれてきて実験するわけには行きませんからね。

論文を毛嫌いする人は大抵英語が苦手かと思うので、日本語のめちゃくちゃ簡単な論文でみなさんと一緒に見ていこうとおもいます。

紹介するのはこちらの論文です。

じつはこれは論文とは正確には言えません。しかし、初心者がまず読んで見るにはいい教材です。これはポスター発表なので論文として体はなしていませんが(査読はされていなく、雑誌に掲載もされていない)、こういうポスター発表を経て論文というのは完成されるものなのです。

もう少しで論文になれそうな子供論文といったところでしょうか。

まぁとりあえずそれはおいといて、これを論文ということでよみすすめます。

CiNiiという日本語論文サイトに掲載されている『RFD向上トレーニングとしての高速スクワットの有用性』という論文(子供論文)です。

ジャンプアタックという書籍にて高速スクワットを勧めているのですが、ジャンプ力とRFD(Rate of Force Development)には強い関係性があると考えているのでこのような論文を調べました。

結果から言えば、この論文を開いた瞬間にほぼ見るのやめました。

理由は対象者が「健常成人女性22名」だったからです。

(読むのやめましたが、一応今回この論文を用いてみなさんに説明するのでせっかくなので読みすすめます。)

論文は対象者が大切です。

今回の論文は『健常成人女性』でしたが、自分が参考になるのは基本的に『トレーニングをよく積んだ男性アスリート』です。

論文の対象者が『メタボなおっさん』とかだったら全く読む意味がないとは言いませんが、ほぼないです。

なぜなら、有酸素運動は筋肉量を減らすのは有名な話ですが、普段運動してないおっさんに1ヶ月しっかりランニングさせたらなんと筋肉量は増えるのです。

論文を検索するときは基本的にタイトルで検索するのですが、興味のあるタイトルなのに対象者がメタボのおっさんだったときのショックは計り知れません。

たとえば、1ヶ月間このトレーニングでジャンプ力が20cmも平均アップしたよ!っていう論文みつけて「ひゃっはー!熟読するぜ!」って思っても対象者が「普段運動していない40〜50代の男性」だったらその論文のページを強い怒りを覚えて閉じます笑

②つぎに、実験や調査の結果の図やグラフを見よう!

論文にもよりますが、気合の入った論文は3〜4枚、またはそれ以上で書かれていることが多いです。

数多ある論文をちくいち詳細に読んでいたら時間が足りません。

日本語ならすらすら読めるでしょうが、英語だと時間がかなりかかります。

ゆっくり最初から読もうとして、最後に対象者が「めたぼのおっさん」と書かれていたら時間を返してほしくなります。

しかし、なんと論文を時短で読む裏技があります。

その裏技はとても簡単で、「グラフ」や「図」をみるだけです。

グラフや図は、著者が行った実験の結果をわかりやすくまとめているものです。

このグラフや図をつくるために著者が実験や調査をしたといっても過言ではありません。

なので、論文を検索し、興味のあるものをみつけ、対象者も自分にマッチしていたらグラフを探しましょう!すぐに見つかるはずです。

残念なことにこの紹介した論文にはグラフや図は見当たりません。この時点でこの論文を読む気が半減します爆

③実験の方法など

グラフだけではよくわからないことが多いので、そういうときはグラフと関係する記事を探します。

だいたいメソッドとか方法と書かれているところにその詳細が書かれています。

その文章で、グラフや図のさらなる理解を深めます。

今回紹介した論文にはグラフや図がありませんので、方法のところを読むことにします。

まぁ対象者がマッチョな男性トレーニーでないので全然詳しく読む気が起きませんが。

ちなみにこの論文ですが、実験方法はぱっとみただけでは自分はすぐに理解できません。

筋トレ論文読んでて思うのが、だいたい実験方法にでてくる器具がわかりません。

体育学を専攻している人などであればすぐに理解はできるかと思いますが。

RFDなどの用語はまだググれば理解できる範囲だと思いますが、今回の論文ででてくる「固定式ダイナモメーター(BIODEX system3)」というものがなんなのか想像も付きません。

SAKAImed参照

一応グーグル検索ででてきた画像を紹介しておきますが、本当に興味のある論文しかこんなことはしません。

「へえ〜。わけのわからん装置使ってるなー」とか考えながらたいてい読み飛ばします。

今回は検索したので、見た目からどんな装置なのかは容易に理解できると思います。

④最後に考察を読む

タイトルに惹かれ、調査対象に納得し、実験の方法や結果から自分が納得行く結果をみて初めて考察を読みます。

考察には論文を書いた人の考えや、参考にした論文が紹介されています。

たとえばですが、なぜ今回こういう結果になったのか、なぜ実験は失敗したのかなど筆者の考えがつらつらと書かれています。

今回紹介した論文にも短いながら簡単に筆者の考えがまとめられています。

参考にした論文はかかれていませんが。

⑤その他論文(子論文・孫論文)をさらに読むかどうなのか

ここまででほぼその論文については読み終えたといってもよいでしょう。

しかし、興味のある論文ではこれだけでは終わりません。

なぜなら、科学とは歴史であり、この論文を書くにあたって参考にしたであろう論文がたくさんあるはずだからです。

論文の最後にずらーっとたいてい多いときで30ぐらいの論文が並んでいます。

筆者が自分の論文を書くときに参考にした論文です。

自分が惹かれたタイトルから考えて、筆者も自分と似た考えの人物の可能性は高いです。

その人が参考にした論文はぜひ読みたくないですか?

そんなことをしていたら、子論文、孫論文、ひ孫論文と無限に続いていきます。

やめどきというものがありますが、本当に興味があれば無限に読んでしまうことでしょう。

ちなみに今回のこの論文はタイトルにめっちゃ惹かれましたが、なんと参考にした論文が掲載されておりません。

論文というよりは、ポスター発表のようなので、まぁ仕方ないでしょう。

おわりに

論文を読み終わったら、是非自分の考えをノートなどにまとめてみましょう。

新しい発見や、違う論文を読んだときに「そういやあの論文にはこう書いてあったな?」など思い出すきっかけになるでしょう。

自分は論文を読んだら備忘録もかねてツイッターやブログで書くことにしています。

そうすることで、他人に説明し、理解をさらに深め、記憶の定着を図ったりしています。

余談ですが、医者はよく抄読会というのをやります。

医者も英語が全員得意なわけではなく、誰かが日本語訳してくれた英語論文であれば聞きたいものです。

だいたい週に1回そういう日があって、だれかが当番で英語論文を読んで簡単にスライドにまとめてみんなの前で発表します。

これが興味ない論文にあたったりするとめちゃくちゃしんどいです。

おもしろくて興味のある筋トレ論文ならがんがん読めるんですけどねぇ。

感想

なかなか自分が欲しい理想の論文に出会えることはありません。

そういうときは、自分で実験するしか無いですがそれは現実不可能です。

巨万の富があれば可能でしょうが、そんなお金はありません。

世の中やっぱ金ですね。つらい。

最後に一言

ビル・ゲイツとかジャンプトレーニングに興味ないかな

参考にしたサイト

pixabay.com

Training Science

pubmed

sakaimed.co.jp

CiNii